手塚統のはちみつトマト日記

はちみつを使ったトマトの栽培、しいたけの栽培、趣味のMOTOR、など徒然に。

ながぬま農協元組合長、駒谷信幸氏インタビュー

Q ホクレンが、ながぬま農協から玉ねぎ種子の注文を受けながら、販売を一部拒否した問題で、公正取引委員会は、不公正な取引方法の恐れがあるとしてホクレンに口頭注意をしました、改めて発端から説明してもらえますか。

駒谷 我々はホクレンに三割しか出荷していませんが、あとの七割は国の指導による需給安定対策に反するので、種子は供給しないという理屈です。

Q 農水省生産局野菜課に問い合わせたところ「国のガイドラインが法律に基づいた強制であるかのような、ホクレンの表現や、種子の販売規制は行き過ぎた行為」との見解でした。

駒谷 農水省も弱すぎるんだ、はっきり「違う」と警告してもらわないと。ホクレンは「政府指導機関の指示に基づいている」と主張するわけです。需給調整という、素人にはもっともらしく聞こえる理由を持ち出してくることが許せない。我々は他産地と連携してリレー出荷する販売体制を作った。それがホクレンには面白くないんでしょう。

Q しかもホクレンは道内の種苗会社に文書を回して、ながぬま農協に玉ねぎ種子を販売しないようにと圧力をかけたのですね。

駒谷 注文して断られた例もあります。業者にしてみれば、うちらに売ればホクレンに潰されると恐怖を感じたはずです。ある種苗会社から手配できたこともあって、公正取引委員会の措置は口頭注意のみでした。しかし、収穫後、本来買いたかった種子と収量、販売額の差が出たら、情報をくださいと公正取引委員会に言われています、まだ終わったわけじゃない。

Q ながぬま農協組合長を務めたときも、テーマは農協改革だったと聞きます。

駒谷 私は日本の農業を良くするには、消費者を味方にするしかない、と信じています。
少しでも安く出し、良いも悪いも混ぜて売るのではなく、商品の価値に見合った売り方をするべきです。その邪魔をしているのが農業団体の流通システムだと思います。すごくコストが掛かるし、それに対するチェック機能も無い。我々は農業団体に出資しているのですから、他から資材を買うほうが安かったり、他に農産物を売る方が高いのはおかしいんです。
北海道をどうやって復興させるか。簡単な話なんです、加工して付加価値を付けて売ればいい。国内農業生産額は年10兆円ですが、消費者が飲食に使う総支出は80兆円に達しているんでしょう。

Q そういうことを組合長として発言すると、かなり抵抗を受けたのではありませんか。

駒谷 組合長の仕事は組合員の利益を考えることではなく、組合と連合会の経営を最優先することに、すりかえられています。北海道で組合長に就任すると、ホクレンの関連会社のポストを7つくらい押し付けられ、組合長報酬とは別に年間数百万の収入を得させる。そうやって黙らせるわけです。そのくせ、たとえば資材の仕入れ価格を調べようとしても、職員がなかなか教えてくれない、「利益配分」を理由にホクレンに裏金を申請するよう職員に示唆されたこともあります。
そういうことを組合員は全く知らされていない。

Q 農業団体の、そうした体質の根っこには、何があるのでしょうか。

駒谷 とにかく組織維持、組織を守るために、いかにイエスマンを作るかしか考えていない。だから優秀な職員も組合長も、ほとんどは金で牛耳られてしまう。また農業界では発想の違う人、生き残ろうとする人が現れると、皆で足を引っ張ろうとしますよね。その心理を農業団体はうまく利用しているんです。
戦後60年たって、今ほど消費者が食べ物に関心を持っている時代は、ありません。
ですから、農協改革も食べる人たちに理解を広げてもらいながら、取り組んでいくべきです。農業界の内側から農協批判をやっても的外れです。消費者が農業に抱く疑問に対しても、農業経営者が真っ当に答えていくのがいくのが正道です。せっかく国産農産物を支持して下さる消費者がいるのに、このままでは支持が失われるのではないかと、私は危機感を覚えます。

-------農業経営者2007Mayより抜粋しました。---------