手塚統のはちみつトマト日記

はちみつを使ったトマトの栽培、しいたけの栽培、趣味のMOTOR、など徒然に。

ノアの方舟

このたびの津波を見て、ノアの方舟を思い起こした人も少なからずいるのではないか。

人間を造った神であったが、人の数が増えるにつけ、おごり高ぶる者、悪事を働く者が増え、こんな世界は滅ぼしてしまえと大洪水を起こすが、全ったき人、ノアとその家族は生かしてやる。おなじみの話だ。

実際、津波説もあるらしいが、古代メソポタミア叙事詩ギルガメッシュ」が起源とも言われる。

この叙事詩ギルガメッシュ」は、紀元前3千年頃にメソポタミアで書かれたものとされ、恐らく、世界最古のものである。つまり、旧約聖書が書かれる2千年以上も前に存在していたことになる。
その後、この叙事詩は、何世紀もの間に中近東の至る所で書き写されていった。

そのあらましは、形を少しずつ変え異なってはいるが、一様に大洪水の伝説の形で記されているのである。したがって、古代オリエントの文献にいろいろある大洪水にまつわる伝説は、すべて、この話を起源にしているとみてよい。

恐らく、イスラエル人が紀元前2千年~紀元前1千年にわたり、近東の地を放浪する過程で、この話を吸収し、自分たちの世界観、価値観に当てはまるようにアレンジしていったのだと思われる。こうして、旧約聖書のノアの洪水伝説が出来上がっていったのであろう。

ギルガメッシュ」に記された大洪水の話は、この地方でよく氾濫を繰り返したチグリスとユーフラテス川の洪水による大惨事とだぶってくるのは否めない。

 そして、この忌わしい大洪水の記憶が、受け継がれ変形されて、ノアの箱舟伝説になっていったと考えられるのである。大洪水は、聖書に描かれているような規模ではなかったものの、人々の心に凄まじい恐怖を植えつけることは出来たはずだ。

やや話がそれたが、石原東京知事の「天罰」発言は、おそらく「ノアの方舟」的な意味で言ったのだと思う。

この災害が日本の分岐点になるような気がしてならない。