手塚統のはちみつトマト日記

はちみつを使ったトマトの栽培、しいたけの栽培、趣味のMOTOR、など徒然に。

自由貿易と食文化そして食育 2

自由貿易のために農業を大幅に縮小した国の代表は19世紀のイギリスだろう、そもそも世界的な自由貿易という概念はイギリスが発祥である。

19世紀前半、国際分業において工業分野で圧倒的優位を誇ったイギリスは、世界的な自由貿易体制確立に腐心していた。生み出す利益が自国をより優位にすると考えられたためである。

もともと自由貿易は、産業資本家の要請を受けて展開された。19世紀初頭のイギリスでは穀物法や航海法によって国内市場を保護するとともに、貿易による利益が一部の特許会社に独占されていたが、これに対して産業資本家から批判の声が上がった。
直接的な理由としては国内産小麦を保護することによって、パンの価格が高くなっている、というものであった。
スミスやリカードら経済学者や、コブデン、ブライトなどのマンチェスター学派によって唱えられたこの主張は国内に広く支持され、国内市場を保護しないという方針は19世紀イギリスの基本政策となった。

一方で貿易相手側の自由貿易、つまり相手国に市場を保護させないという点については、ドイツ関税同盟の例があるように徹底することは難しかった。非ヨーロッパ地域では清朝に対するアヘン戦争、アロー戦争のように、自由貿易を強制することも可能であったが、ドイツやアメリカに対して武力で自由貿易を強制することは不可能であった。これに対し、イギリス産業界からは保護関税の導入を求める声が上がったが、導入には至らず、イギリスは結局、ブロック経済まで一方的に自由貿易を展開することになる。イギリス以外の中核国では、イギリスに対抗し自国産業を育成するために保護関税が導入され、早くに自由貿易は衰退している。

イギリス料理のまずさは、イギリス人自身が自虐ジョークにするほどで、美味しい外食はインド料理中華料利、イタリア料理など自由貿易がもたらしたもの、になるらしい。

つまり、独自の食文化は育たなかったわけである。

続く