手塚統のはちみつトマト日記

はちみつを使ったトマトの栽培、しいたけの栽培、趣味のMOTOR、など徒然に。

バイクの話でも 最終回

30年以上前の話が続いたが、最後は2012年の話題で幕を閉じたいと思う。

最激戦区である、全日本ST600上位マシン、イッキ乗り。

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かつてはGP250かGP125の2サイクル純レーサーが中心であったが、どちらも廃止となり、いまや市販車ベースのプロダクションレースが中心となってしまった。不景気な世の中である。

改造範囲の狭いプロダクションクラスとは言え、全日本ともなれば、著名なチューナーもいるし、メーカーからの援助があったりで、それなりに凄いマシンが、ひしめき合っている。







そんな中でチャンピョンを獲得したのが、ヤマハタイランド・レーシングチーム/YZF-R6/デチャ・クライサルト

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タイ現地法人のチームで、ライダーもチーフメカニックもタイ人である。

当然ながら、彼らにとって日本は外国であり、他の日本チームより不利な条件にも係わらず、見事チャンピョンを獲得した。

そのチャンピョンマシンに生見友希雄と宮崎敦が試乗した。



「尖ったところがないチャンピョンマシン」宮崎敦

このマシンを見てまず新鮮だったのが、あまりにも変更箇所が少ないということだ。
サスペンションも、ブレーキローターもスタンダードでマフラー以外は外観上の特徴はない。
コースインして感じたのはエンジンの鈍感さだった。初めはアクセルが引っかかっているかと勘違いしたほどだ。
走行後確認した所ライダーの好みで、意図的に鈍くセッティングしているとのこと。
車体もブレーキも、これは凄いという印象は無かったが、バランスが良く整えてあった。
高価なパーツを使わずとも、マシンをしっかりセットアップしたことが、尖ったところがない、普通にして実は高いレベルのマシンを造りだしたのだろう。




「2周でわかったタイトル獲得の理由」生見友希雄

2周走っただけで感心し、何の心配もなく走りに集中することができた。
st600のライダーなら、誰もがこのマシンでレースに出たいと言うと思うくらい、高いバランスの仕上がりだ。

チャンピョンマシンと聞くと、エンジンパワーが凄いなどの、ずば抜けたところを期待するかもしれないが、このマシンはどこかが特別にずば抜けているわけではない。

とかく、ある部分の性能をあげようとすると、バランスが崩れ乗りづらい部分ができてしまう。ところがこのマシンはスタンダードバイクの高いバランスを、そのまま全体的にボリユームアップ。
どんなコーナーでも安心して攻めこむことができ、どこのサーキットでも安定した結果が出せたのもうなずける。
さすがチャンピョンマシンと、うならされた。

これまで色々なプロダクションレーサーを試乗してきたが、チャンピョンマシンは、どのメーカー、どんなライダー、どんなコンストラクターが仕上げても同じ仕上がりになっている。
スタンダードの良さを、そのままボリユームアップさせた、乗りやすいマシンが、チャンピョンマシンになっている。

ここが図抜けて素晴らしいという物をもっているマシンもあるが、それが乗りづらさにもなり、結果的にチャンピョンをとれていない。
レーシングマシンも人間が扱う以上、乗りやすい特性にするのが普遍のテーマなのだと思う。