手塚統のはちみつトマト日記

はちみつを使ったトマトの栽培、しいたけの栽培、趣味のMOTOR、など徒然に。

農協の大罪

イメージ 1

本の存在自体は知っていました。
良くある農協批判本と思っていたのですが、ブログ仲間のいとや209さんの記事で、JA中央会から「農家にはなるべく読ませるな」と禁書に指定されているとの情報をゲット。

ダメと言われると、やりたくなるのが人の心です(笑)


あとがきの要約だけ、公開します。





おわりに


筆者が30歳過ぎて、最初に農水省の課長補佐になったときの小さな出来事をいまだに思い出す。

上司に「きみは農協が農家や農業のために仕事をしていると思っているのか」と一喝されたのだ。

あまりに実態を知らなさ過ぎるといった呆れ顔だった。

農水省が改革を進めようとすると、必ず農協から妨害が入った。農協の大きな壁である。農協の農協の為による支配にうんざりしている農水省の同僚諸氏も多いのではないかと思っている。

筆者は別に農協を潰そうと思っているのではない。農業で生きていこうとする、まともな農業者が努力するのを妨害しないでほしいと、お願いしているだけである。

本書を書き終わって思うのは、歴史は繰り返すという格言についてである。

当初の地主制は、真剣に農業の改良・振興を目指したが、後に寄生化した。

農協も当初は食料集荷という役割はあったもの、後に脱農化した。歴史は繰り返した。

その一方で農政は志を低下させていった。政治との関係も戦前と戦後は断絶している。農政の栄光は失われた。時計の針は戻らなかった。

地主制と同様、農協制も「衣の館はほころびにけり」「年を経し糸の乱れの苦しさに」という状況になりつつある。

農水省も志の高い官僚たちがいないではない。農産物の価格を下げ、対象農家を絞って直接支払いという補助金を交付すべきという筆者の10年来の主張は、徐々にではあるが、農業界以外の人々、専業農家有機農業を行う農家、農業法人の方々。

さらに一部であるがJA農協の将来に疑問を持たれている職員の方々の中でも、支持を得つつある。

かつて、小作人解放への夢と執念は農地改革で実った。

今度は農業改革で強い農業の実現を見たい。それが食料安全保障、多面的機能を実現する唯一の道である。

これ以外に道はない。


2008年12月18日 農政アナリスト 山下一仁








著者

山下一仁(やました かずひと)

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、同年農水省入省。

82年ミシガン大学にて応用経済学修士行政学修士

05年東京大学農業博士。農水省ガット室長、農村振興局整備部長、農村振興局整備次長などを歴任。

08年農水省退職。同年経済産業研究所上席研究員、東京財団上席研究員。